地元の図書館に行った。そこで衝撃的な事実を知った。
なんと、「比島から巣鴨へ 日本軍部の歩んだ道と一軍人の運命」(武藤章/中公文庫)があったのだ。
まじ?と手を取り、表紙を見る。タイトルと武藤のお顔…まごうことなき(?)「比島から巣鴨へ」だ。
ここ最近の私は昭和の歴史に興味を持っている。「昭和史」という大きな海があれば、まだまだ浅瀬でちゃぷちゃぷする程度だが。
その中で興味を持った一人が陸軍軍人・武藤章だ。
陸大を優等で卒業したエリート、統制派の寵児、軍務局長として辣腕を振るった武藤章。
戦後A級戦犯として絞首刑に処された人、武藤に対してはその程度の知識しかなかった。
そんな中で出会ったのが「指揮官と参謀 コンビの研究」(半藤一利/文春文庫)だ。
太平洋戦争末期、ルソン島で米軍相手に戦った第14方面軍司令官・山下奉文と同参謀総長・武藤章がコンビとして紹介されている。
多くの人が犠牲になったという悲惨な事実があるなかで、2人を美化しすぎたら駄目だけど、かつては統制派(武藤)と皇道派(山下)と敵対する派閥に属していた2人が、勝てる見込みのない中でタッグを組んだなんて…、それも山下大将が武藤を参謀総長に指名したと知ったら…。
「どっちのいびきがうるさいかな?」とか、「武藤が俳句の中で山下大将のことを老将と揶揄ったら、「俺は老将じゃない」と返された」とかそういうエピソードが紹介されたら…。(家族の理解は得られなかったが、この2つのエピソード、私はかわいくて尊いものとして見ています。)
「指揮官と参謀」では色んなコンビが紹介されているが、山下&武藤編は特に私の心に残った。
そして武藤が巣鴨拘置場で書いたという「比島から巣鴨へ」を読みたくなったのだ。
だが地元の図書館にはないと思っていた。だから父の家の近くにある図書館で借りてきてほしいと、単身赴任中の父がこちらに帰ってくるタイミングでお願いし、借りてきてもらった。
フィリピンという土地に対し土地勘なんてないので、「ミンダナオ」とか「バギオ」とか地名が出てきてもピンとこなかったり、戦いの経過も理解できない部分もあったが、それでも読み終わった後は謎の満足感に包まれていた。
(ちなみに父には本を返す際、「こういうエピソードがあってね!」と展開しようとしたが、華麗にスルーされた)
今度は丁寧に読み返したいなと思っても、何度も父にお願いすることはできない。
だから本を返した数日後、定価の倍以上の金額がつけられている中古本を買った。(流石に父には報告していない。なんだか呆れられそうで)
「これで気になった時はいつでも手に取れるゾ〜」と喜んでいたんだ。
だから地元図書館の本棚に「比島から巣鴨へ」を見つけた時には「あるんか〜い!」とツッコみそうになったし、ずっこけそうにもなった。
そもそもどうして地元図書館には置かれていないと思ったんだろう。図書館のHP上で蔵書検索もしたはずなのに…。
置かれている本棚もよく見ているはずなのに…。「比島から巣鴨へ」の隣には岡義武さん、半藤一利さんそれぞれの「山県有朋」が並んでいた。どちらも手に取ったことがあるので、視界には入っていたはずなのだ。
もしかしたら蔵書検索したつもりでいたけど、書店の在庫検索と混同している可能性も十分に考えられる。
別に定価以上の価格で買ったことを後悔はしていない。繰り返すけど、いつでも手に取ることが出来るから。
ただ自分のポンコツっぷりに動揺が止まらないのだ。
家に帰ればあるのに、借りようかなとも思った。
結局「比島から巣鴨へ」は借りず図書館を出たが、日にちを跨いでもまだ動揺している。
武藤って私みたいなポンコツ嫌がるだろうな〜。鼻で笑うことすらしなさそう…。眼中に入れてももらえなさそう…。と自宅にある「比島から巣鴨へ」を眺めながら思った。


