今年に入って図書館通いを再開している。
そんな数分の間に目新しい情報が更新されるわけでもないのに、 ついつい触り続けてはいつの間にか夜、 みたいなのが日常茶飯事なのである。
これはいかんと、スマホに代わる娯楽を本に託した。
通っているのは市立図書館の分館だ。 図書室というのが正しいかもしれない。 こじんまりとしているけれど、 施設自体がこの数年で建てられたこともあって明るくて綺麗な場所 である。
家の中で読むと途中で煙草休憩に入ったり、 ごろごろしてそのまま寝るのが分かっているから、 本当な図書館内の読書スペース( 机と椅子が何組か用意されているのだ) で読めばいいとは分かっている。
だがいかんせん家が好きというのと、 そもそも出不精で徒歩10分の距離も出るのがめんどくさいと感じ るためについつい家の中で読もうとしてしまう。 そうなると結果はお察しの通り、 煙草休憩と称して左手にアイコス、 右手にスマホで換気扇の下に立っています。 依存からの脱却は程遠い。
ちょうど今の私の一番の関心ごと( というか現実逃避のための救いの場)が、 幕末から明治にかけての歴史であって、 特に仙台藩が中心となって組まれた奥羽越列藩同盟についてなのだ 。ほら、河井継之助も関わっているし…。『斬殺』 はこの奥羽越列藩同盟の前身である奥羽列藩同盟が結成される前後 を描いていて、今の私にすんごく刺さる内容だったのだ。
表紙のあらすじを引用すると「他、 明治初年に少数で奥州に遠征した官軍の悲惨な結末を描く「斬殺」 (略)を収録」と収録内容が書かれている。なんと! しばりょは世良修蔵についても書いていたのか!と嬉しくなって、 そのまま借りた。本当は同じ司馬遼太郎の『世に棲む日々』 を借りる予定だったのにね。若き日の山県くん(山県有朋)を浴びるつもりだったのにね。
さて、『斬殺』を読み始めたら止まらなかった。
現在停滞しているが、こちらも図書館で借りた星亮一さんの『 奥羽越列藩同盟 東日本政府樹立の夢』(中公新書)で「つまりどういうこと…?」 と頭を抱えていた内容がするする入ってくる。 新書と小説だから読みやすさはそりゃあ小説にあるとは思うのだが 、面白いくらいに理解が出来る。「これ進研ゼミで習った内容だ! 」と脳内フィーバー状態だ。私自身は打たないがパチンコで例えると連続で大当たり演出が流れている感じ。
冒頭、大久保利通や大村益次郎なんかも登場すると、 それぞれの登場は1シーンにも関わらずテンションが上がった。 特にしばりょが描く大久保利通が大好きなのだ。 こんなところにも大久保サァ!である。
冒頭、大久保利通や大村益次郎なんかも登場すると、
世良修蔵については、星さんの『奥羽越列藩同盟』を読む限り、 仙台藩の人々の気持ちを逆撫でするようなことばかりをするイメー ジがあった。イメージが変わるかしらと読んだが『斬殺』 での世良も高圧的で、 相手が大藩のお殿様であろうが上役であろうが上から恫喝するよう な態度で… あんな最期を作るきっかけを自ら作り続けていたなぁと、 良い印象は抱けないままだった。ただ物語の終盤、世良の最期に関しては少しはその扱いを憐れんだよ。
主人公にまったく感情移入はできなかった、 むしろ仙台藩負けないでー!という気持ちで読み進めたが、 面白いから読むのが止まらない感覚、我がバイブル『峠』 を初めて読んだ時と似ている。『峠』 は文庫本3冊分を一気に読んだわけではないけれど、 それでも私の中では爆速で読み終えた作品だ。 継サがかっこいいんすよ、えぇ。
読書っていいな、司馬遼太郎ってやっぱりすごいな、 面白いなと感じることが出来たいい機会だった。いや、 しばりょはすごいのはもちろん知ってるけど再認識したのだ。 ありがとう、図書館。図書館で借りれるからこそ、万が一失敗してもしゃーないかで済ませることが出来ると手に取ったのが良かったのかもしれない。
満足感に浸りまくっているのでこのまま積んでいる本をどんどん消 化して、スマホ依存からも脱却したいで候。