ひょっとしたら、ひょっとする

にわかおたくの戯言です

穏やかなお顔が好みです

幣原喜重郎の「外交五十年」(中公文庫)を借りることができた。ヤッターーー!!

戦前は外務大臣など要職に就き、戦後は総理大臣として活躍した幣原喜重郎による回顧録だ。
「男子の本懐」(城山三郎/新潮文庫)を読んで以来、浜口雄幸(と井上準之助)に落ちた身としては、浜口の学生時代からの友人であり、浜口が総理大臣になった時には外務大臣として入閣した幣原は、高校で習う日本史Bの教科書に記載されている以上に私にとって身近な存在だ。身近とかいうけれど、親類でもなんでもない。ただのファンです。
(今お手元に山川の日本史Bがある方はぜひ試していただきたいんですが、びっくりするくらい浜口・井上・幣原について触れられていないんですよ…解せないね)

五年前、おそらくTwitterだと思うが、「外交五十年」が装丁を新しく出版されることを知った。
夢見がちな少女はこれを「運命だ!」と思った。だって告知があったのが「男子の本懐」を読み終えて、自分の中でおさちブームが最高潮だったタイミングなのだ。
回顧録ってつまりは「幣原から見たおさちも見れるんじゃない?キャー!」と発売日を心待ちにしていた。
(※おさちとはもちろん浜口のことである。浜口と言うのに慣れていないため、以下おさち表記でいく)

初めて訪れた大型書店で迷いながらも本棚から見つけた時の嬉しさや、袋から取り出して帰りの電車の中でページをめくった時のドキドキは今でも覚えている。

ところで、本来であれば「外交五十年」は当事者から語られる軍縮会議や、当時の日本の対外政策などについて書かれている至極真面目なものである。
しかしながら私は当時のSNSに感想として以下を残していた。以下抜粋。

浜口雄幸との友情話にぐっときた。浜口が民政党の総裁になったのは幣原の働きがあったからとか、首相代理を渋っていた幣原に浜口が頼んだりだとかたまらない!
個人的には幣原から語られる浜口雄幸の話が嬉しい!

…邪推な目で見てるな〜〜〜。五年後の私もだけど、天国の幣原もきっとびっくりだよ。
そういえば「男子の本懐」も冒頭、おさちが井上に「大蔵大臣になってくれないか」と誘うシーンに鼻息を荒くしていたな。(新潮文庫から出ている文庫版をぜひ!わたしゃ21ページの二人のやり取りだけで白米三杯はいけるね)

話が逸れたが、山川の教科書にケチをつけるくせに、政治の話をちゃんと理解していない。あの時代ひっちゃかめっちゃかだし…。たくさん人出てくるし…。にも関わらず、複数回読み返して楽しめたのはきっと彼自身についても書かれているからだ。

ところが、だ。
「運命だ!」とまで声高らかに叫んでいたくせして、私は「外交五十年」を実家の自室で紛失したらしい。らしい、というのは、確か本棚に入れたはずなのに見当たらない、引越し先に持ってきた覚えはない=なくしてしまったんだなという結論である。
いや、多分しっかりと探していないだけで汚部屋(自室)に埋もれているはずだ。探せばきっと見つかると思いながら、私は実家に帰っても一向に掃除をしないのであった。

久々に訪れた図書館は平日の夕方ということもあったが、人はまばらだった。読みたかった本をいくつか手に取ってた時にふと「幣原本(と呼んでいる)もあるんじゃない?」と思った。
急いで貸し出されていないかを蔵書の検索をかける。…ある!背表紙B319-1!
現代小説の欄にはなかった。Bは文庫本のBというのは理解しているが、一応新書やハードカバーが陳列している棚も見てみた。ない。歴史関係が並ぶコーナーにもない。ぐるぐると周り、もう一度検索をかけてみる。
幣原本はあった。なぜか自然科学の欄に。嬉しくてほくほくした気持ちで取り出す。
実に五年ぶりに読むが今からとても楽しみだ。