ひょっとしたら、ひょっとする

にわかおたくの戯言です

原点の話

新年明けていました。おめでとうございます。

いよいよ映画「峠」の具体的な公開日を教えてもらえないまま、2022年がスタートした。
一週間に一度は映画「峠」の公式サイトにアクセスしては、その度に公開日が更新されていないことに落胆しページを閉じるという流れにもすっかり慣れた。
あと何回か見返したら、60秒予告のセリフ全部覚えることが出来そうです。

悲しいかな、家族からは「「峠」、このままお蔵入りするんとちゃう?」と、つっこまれても否定できないことが辛い。
本当にお蔵入りになったらどうしようという不安な気持ちと、ソ〇ー損保のCMに出ている役所広司を見るたびに「峠は!?」という憤る気持ちとの狭間で生きています。

愚痴を言いたいのではない。

年始に大河ドラマ篤姫」総集編を見たので、その話がしたいのです。
年始にj:comテレビで放送されていたものを録画していたのだ。ありがとう、j:com

大河ドラマ篤姫」は私にとって幕末史への入口となった大切な作品だ。
原作は宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」(文春文庫)。
ドラマ自体は2008年に主演・宮崎あおいで一年を通して放送された。
薩摩藩・島津家の分家に生まれた主人公・篤姫が、藩主・島津斉彬の目に留まり、島津宗家の養女、そして徳川将軍家に御台所として嫁ぐ。嫁いだことがゴールではなく、幕末の動乱期に、大奥から徳川を守ろうとした女性の生涯は、ただのシンデレラストーリーではないのだ。
大奥にいる女性たちの目線で描かれる、対外国問題、将軍跡継ぎ問題、桜田門外の変公武合体運動、大政奉還戊辰戦争…。一つ一つ丁寧に描かれている(と感じている)。

当時小学生だった私は、母に「面白いらしいよ」と言われて、物語の途中から「篤姫」を見るようになった。
見始めた頃には既に篤姫は大奥へ入り、家定公(徳川十三代将軍・徳川家定)に嫁いだ後だったけれど、歴史を知らない私でも、なんなら途中からでもとても楽しめて、幕末という時代にのめり込んだ記憶がある。

篤姫」は登場人物一人一人が魅力的で、堺雅人演じる家定公はもちろん、中村梅雀演じる井伊直弼や、山口祐一郎演じる島津久光が特にお気に入りのおぢさんだった。昔からおぢさんが好きだったけれど、私のおぢさん好きの原点もここといっても過言ではない。
原田泰造(ネプチューン)演じる大久保利通も良かった。お笑いをしている泰造さんしか知らなかったから、ギャップに驚いた記憶がある。
男性陣ばかりじゃなくて、女性陣も素晴らしい。特に私は松坂慶子演じる幾島(篤姫付の老女)や、稲森いずみ演じる瀧山(大奥御年寄)といった大奥の女性陣、市川実日子演じるおりょうさん(坂本龍馬の奥さん)が大好きで大好きで…。

幕末ものは「篤姫」以降も映像化されているけれど、最初に見た印象が強すぎて、「〇〇といえば〇〇さん」という固定概念と化している。

新選組倒幕派、そして河井継之助へと私の日本史の中での興味は移り変わるのだが、原点は間違いなく「篤姫」だ。

当時から十年以上経って見た「篤姫」はやっぱり面白かった。2008年放送ってだいぶ前だけど、古臭いとかまったく全然意識しなかったもの。
何より宮崎あおいの演技が圧巻だった。活発な十代の少女から大人の女性になっていく姿、晩年の老齢の女性、話し方や所作、雰囲気さえも年齢を重ねる毎に変えていく彼女の演技に圧倒される。
宮崎あおい、当時まだ二十代前半ですって…。ただ可愛いだけじゃないの…。恐ろしい子…!

総集編には個人的に名シーンだと思っている「家定公によるバックハグ」も収められていた。
だよねだよね、ここは外したら駄目だよね!!と鼻息を荒くしながら画面を食い入るように見ていた。


ここからネタバレ入ります。


作中、篤姫が嫁いだ徳川十三代将軍・徳川家定は周囲からの重圧、人間不信から、普段は「うつけ」のフリをしている。
篤姫はその「うつけ」の姿が仮のものだと見抜き、次第に家定公の心を溶かしていく。スタートは周囲が進めた政略結婚だった二人が、次第に通じ合う過程は涙せずには見れない。
「バックハグ」シーンは、自らの死期を悟った家定公が二人きりのタイミングで篤姫を後ろから抱きしめるシーンなのだが、ほんっっっっと泣けるから!!
実際に小学生の頃の私は泣いたし、二十代半ばとなった今でもずびずびティッシュ片手に泣いた。
堺雅人のやわらかな口調が、眼差しがまたいいんだぁ…泣かせにくるんだぁ…。
「リーガルハイ」や「半沢直樹」のといったクセの強い役の印象が強いが、家定公もいいよ!優しい眼差しを向けながら、優しい声で「御台」って篤姫のこと呼ぶんだよ!?無理じゃん!!(とっくに語彙力なんて死んでいる)
録画リストにはまだ残しているから、また見返して涙活します。


ネタバレといっていいのか分からなかったけど、一旦ネタバレ終わり。


幕末史を少しかじった状態で見ると、なかなか突拍子もない設定や脚本に気づいたが、それもまた脚本。
物語としてはとても楽しめるのでオススメです。
あと、オープニングもすごく良くて泣ける。本当に泣ける。総集編一話、初っ端のオープニングから懐かしさに泣いていた私が証人です。なんなら歌えます。

映画「峠」が未だ公開されない中(この人そればっかりを言い続ける)、「篤姫」を見てやっぱり歴史が好きだ!と感じた。
思い返せば「篤姫」を見た直後の校外学習で訪れた二条城、多分学年で一番楽しんだ自信があるもの。「ここで大政奉還が!」と目を輝かせていた純粋な歴史が好きな少女の気持ちを、今回総集編を見返すことによって取り戻せた気がする。